
リハビリテーション(rehabilitation)はre『再び』、habilitate『適合した、ふさわしい』という意味を表します。私達スタッフは病気や怪我によって難しくなった動作を出来る限り患者さんご自身で行えるように、またその方らしい生活とその人らしさ・生きがいを取り戻すもしくは再び築けるように、患者様と共に全スタッフ一丸となって、住み慣れた地域でいきいきと暮らすことができるようお手伝いいたします。
当院では、医師、看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士、心理士による多職種合同回診やカンファレンスなど、チーム医療を実践し、情報交換・治療方針の統一を徹底することにより、良質かつ充実した内容のリハビリテーションを提供するよう努めております。
また、脳卒中リハビリテーションに関しては佐賀地区では先進的に、低周波や振動刺激を併用した促通反復療法(川平法)を取り入れるなど、特に力を入れております。
◆当院の特色
① 在宅復帰には多種多様なサービスが必要ですが、謙仁会グループの施設・サービスや地域の様々な社会資源を活用し、入院での急性期・回復期から、在宅での維持期に渡りリハビリテーションの継ぎ目のない連携が可能です。
②平成26年7月より稼働した5階地域包括ケア病棟では急性期治療後にすぐに在宅や施設へ戻るには不安がある患者様、一時的入院(レスパイト)が必要な方等に対し、在宅復帰支援計画に基づき、医療管理、診療、看護、リハビリを行うことが可能です。また、退院に際しては担当の相談員が様々なご相談に応じお手伝いします。
5F地域包括ケア病棟では、平成28年8月より365日リハビリを開始しました。自宅退院を目標としている方を中心に365日のリハビリが可能な体制を構築しています。この病棟は最大60日までの入院期間となりますが、リハビリテーションの継続が算定期限内かつ主治医が継続必要と判断する患者様については、4階療養型病棟転棟にて継続が可能です。当院ではどの病棟においても、疾患と病状に適した十分な質と量のリハビリテーションを行うことを心がけております。
③脳血管リハビリテーションでは鹿児島大学名誉教授川平和美先生が開発した促通反復療法『川平法』を積極的に取り入れています。脳卒中ガイドライン2015でも推奨されている手法です。当院では川平先生に直接指導を頂き、技術を習得したスタッフが対象患者様のリハビリを担当いたします。
④平成26年4月より心大血管リハビリテーションを開始しました。循環器疾患を対象に専用の機器を使用し、リスク管理に注意して患者様の状態に合わせたリハビリを施行しています。また、心臓リハビリを実施している患者様を対象に心臓リハビリ教室(医師、看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士による講義)を月に2回開催しています。1人の患者様に対して、多職種が関わりサポートしています。
⑤運動器リハビリテーションでは、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折、脊柱疾患術後(椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症)、人工股関節・膝関節置換術後、腱板断裂、橈骨遠位端骨折、肩関節周囲炎などの患者様を対象にリハビリを行っています。早期からリハビリを実施して基本動作訓練(立ち上がりや歩行)、筋力増強訓練、関節可動域訓練、ADL訓練、動作指導(ご自宅での)を行っています。
⑥安心・安全に『食べる』こと、『食べる喜び』をサポートします。
NST回診や嚥下造影検査など多職種で評価を行い、その人その人に適した食事の形態や姿勢、自助具などを検討します。
⑦小児の言語リハビリテーション(完全予約/紹介制)を行っております。発音の誤り、言葉の遅れや吃音(どもり)など、言語聴覚士が発達段階にあわせた指導を行い、社会性を高めるお手伝いをしております。
⑧POCリハビリを実施しています。POC(=Point of Care)リハビリとは、日常生活(ADL)が自立していない患者様を対象に、生活行為の実際場面の中で必要な時に直接介入し、個別に整容(洗髪や整髪、歯磨き等)や排泄、食事、更衣等の訓練・指導を行います。また、ベッド周囲の環境調整や病棟スタッフの介助方法の指導・離床の誘導等も行います。短時間でも日常生活に直接介入することで、ADLの習慣化、動作の習得に繋がっています。
⑨当院では平成31年4月より歯科衛生士が入職しました。
歯科予防処置、歯科診療補助、歯科保健指導の3つの業務を中心に、1人1人のお口の健康づくりをサポートしています。「美味しく食べること」「楽しく会話すること」これらは生涯にわたってとても大切なことです。どちらも健康な歯なくして得られることではありません。末永く健康な生活を送るためには、いかに歯を大切にするかがキーポイントと言えるでしょう。歯科衛生士はお口の健康のみならず、全身の健康までも支えていく仕事なのです。院内の業務目標は、「誤嚥性肺炎の予防・安全で安定した経口摂取を行う」と掲げ、主に「口腔内の清潔を保つ口腔ケア」「義歯や歯の動揺に関しての評価・往診へのパイプ役」「ご本人・ご家族・スタッフについての歯科指導」を行います。
◆施設基準
・脳血管リハビリテーション(Ⅰ)
・運動器リハビリテーション(Ⅰ)
・呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
・心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)
・廃用症候群リハビリテ-ション(Ⅰ)
・摂食機能療法
・訪問リハビリテーション事業所(※主に介護保険での利用となります)
・通所リハビリテーション(※介護保険での利用となります)
◆スタッフ
※令和2年4月1日現在
理学療法士 | 作業療法士 | 言語聴覚士 | 歯科衛生士 | 助手 |
27名 | 10名 | 6名 | 1名 | 2名 |
☆主な取得資格☆
・3学会合同呼吸法認定士 1名
・佐賀県糖尿病療養指導士 1名
・心臓リハビリテーション指導士 1名
・促通反復療法研修修了者 2名
(霧島リハビリテーションセンターにて2週間コース)
・福祉住環境コーディネーター 3名
・がんのリハビリテーション研修会修了者 3名
・訪問リハビリテーション実務者研修会修了者 2名
・介護予防推進リーダー 3名(PT 2名 ST 1名)
・地域包括推進リーダー 3名(PT 2名 OT 2名 ST 1名)
・生活行為向上マネジメント研修(日本作業療法士協会) 3名
・生活行為向上リハビリテーション研修会終了(全国デイ・ケア協会) 1名
・認知症ケア専門士 2名
・BLSインストラクター 1名
・ACLS Provider 1名
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 1名
・介護福祉士1名
・臨床実習指導者講習会出席 4名
◆アドバイザー紹介
リハビリテーション専門医である川平和美先生に定期的にご指導を頂き、リハビリテーションの向上に努めております。

・日本リハビリテーション医学会専門医・評議員
・ニューロリハビリテーション学会 理事

対象:脳血管障害(脳梗塞、脳出血、頭部外傷等)、脊髄損傷などで麻痺がある患者様
麻痺した手や足を操作することで、必要な神経回路にピンポイントで刺激を伝え、繰り返し行って行くことで神経回路を再建・強化し、麻痺の回復を促進する手法です。麻痺の程度や患者様の状態に応じてセラピストが訓練内容を組み立てます。麻痺のある部位をそれぞれ50〜100回繰り返して行います。6人に1人の割合で発症するといわれる脳卒中は、麻痺が残り要介護の原因にもなります。『少しでも麻痺した手足が動くようになりたい』という患者さんと、支えるご家族の気持ちに応えられるように、当院では積極的に治療に取り入れています。急性期はもちろん、慢性期の麻痺にも改善が期待できます。(効果には個人差があります。)
◆当院に入院される患者様の経過について
当院に入院する場合は大きく分けて2つあります。
①救急車搬送での入院、または外来診察からの入院
②他院からの転院
以上の2つが考えられます。
①の入院後の流れは、基本的に一般病棟に入院し、治療後にリハビリが更に必要とDrが判断した場合は、地域包括ケア病棟か医療型療養病棟へ転棟します。退院時に、患者様の状態に合わせて訪問リハビリや通所リハビリ、外来リハビリを実施します。
②の入院後の流れは、地域包括ケア病棟か医療型療養病棟へ入院されます。その後リハビリを行って、退院時に患者様の状態に合わせて訪問リハビリや通所リハビリ、外来リハビリを実施します。
※上記に関しては一般的な入院の流れを示しています。

◆訪問リハビリ・通所リハビリについて
訪問リハビリテーション
理学療法士3名体制で訪問リハビリを提供しています。利用者様の実際の生活場面にリハビリテーションスタッフがお伺いして、日常生活の自立、家庭内・社会参加の向上を図ることを目的とした訪問リハビリテーションを行っています。
◎具体的な訓練内容
・関節の運動や筋力トレーニング
・実生活場面の起き上がりや立ち上がり・歩行などの訓練
・トイレ動作、浴槽の出入り、家事動作などの日常動作訓練
・ご家族へ介助方法の伝達や自宅で行える運動のアドバイス
・福祉用具の選定や住宅改修のアドバイス
通所リハビリテーション
当事業所では、理学療法士3名体制で通所リハビリテーションを提供しています。通所リハビリテーション(デイケア)では、自宅で生活している方が主に介護保険制度を利用して、身体機能の維持・回復をはじめ、日常生活動作の獲得、認知症状進行の予防などを目的にリハビリを行っています。また、言語・嚥下については言語聴覚士からの指導も行っています。