◆パート①「失語症の原因」

脳卒中や交通事故などの後遺症でことばの能力に障害が残った状態を言います。話すことだけでなく、聞くこと、書くこと、読むことも不自由になります。
原因は脳卒中(脳出血や脳梗塞)や頭部外傷(交通事故や転落事故)、脳腫瘍などで起こることであり、心理的なショックや精神的なストレスで起こるものではありません。
 
 
失語症になると
失語症になると話しことばだけでなく、聞く、話す、読む、書く、数や計算に関して全部または部分的に障害されます。具体的症状については次回お話ししたいと思います。

◆パート②「失語症の症状」

失語症になると、「話し言葉」だけでなく、言語にかかわるすべての作業が難しくなります。症状の特徴には、次のようなものがあります。
■聞いて理解する・話す・読む・書くなど、言葉に関する能力に障害が起こります。 
■脳の損傷部位や広さによって、症状は異なります。
■言葉によるコミュニケーションが難しくなります。
聴力に問題はないので、耳は聞こえています
 
 

◆パート③「失語症と一緒に起こりやすい症状」

脳の損傷が原因で起こる失語症には、言語障害以外にも次のようなさまざまな症状を合併している場合がよくあります。
 
■右半身の麻痺               ■右視野の障害(視野障害・右半側無視)
■身振りやジェスチャーが難しい(失行症)  ■同時にいくつものことに注意が向かない
■疲れやすい                ■感情のコントロールがうまくいかない 
■集中力が低下する             ■自分から行動を起こせない、など
 


パート④「失語症になっても病前とあまり変わらないこと」

これまで3回にわたり失語症の「症状」「原因」「一緒に起こりやすい合併症状」についてお話ししてきました。失語症は、脳の言語中枢が損傷されることによって起こる言語障害です。ひとことで「失語症」と聞いても、どのような障害なのか、戸惑われる方が多いでしょう。失語症は発音や発声の障害とは違います。また、認知症とも異なります。
 病気や事故のために失語症という後遺症を負った後も、次のような性格や判断力などは病前と同じように保たれます。
■日常的な挨拶やその状況にふさわしい態度をとること
■その人らしい人格
■記憶(過去の記憶や新しいことを記憶する力)、状況を判断する能力など